自然に流れる

流れるままに記録して、それを遠くから眺めてみたいのです


堪忍袋の緒が切れた

例の叩いてくる近所の子供U君。
うちの子供が行動が遅くて、思い通りにならないので、
叩くんだという。
それなら、と、その子に直接
「Y(うちの子)にぐずぐずしないように言うから、Uくんも、叩くと痛いから叩かないでね」
と約束して、本人も「わかった」と言ったのだが、1回じゃきかなかった。
間もなく、また叩いてくるらしい。

近所なので、ママにいうと何だかぎくしゃくしそうなので、言わないでいた。
それに、赤ちゃんが生まれたばかりで大変だろうと思ったのだ。

もう1回同じ事をまた約束したのだが、また近頃叩いてくるという。
全然わかってない、このU君。
他のママから電話があった。
学校でうちの子供がU君に後ろからシャツを引っ張られて首をぐっとやられ、
背中を殴っていたという。
その人の子供さんが、目撃して止めに入ったという。
それでも止めないので、「ママに言うよ!」と言ったらやっと止めたという。

私もさすがに我慢ができなくなりそうだった。

怒りで顔をひきつらせながら、U君に
「また叩いたの?」と聞くと、
「う~ん?」ととぼけている。ったく、こいつは!
「学校で見た人からお電話があったよ」
というと観念したようであった。
「どうしてたたくの?ママに言った方がいいかな。
次叩いたらママに言うよ」
と低い声で言うと、ママに言われるのは嫌らしく、
「わかった、明日から」
と、のんきな答えである。
明日からって!?何よそれ!今日からだろ!

怒りを抑えながら、次はもう絶対に気遣ったりしないでU君のママに言おうと決心した。

翌日、性懲りもなく朝うちの子を夏休みプールに誘いに来た。
「Uくん、もうYに痛い事しないでね!約束ね!」と近所に響く程でかい声で見送ったのだが、
返事すらしない。何故かうちの子が「は~い」と答えている。

そして、夏休みプールから帰ってきて、子供が言う事には、
「今日も叩いた」
ポケモンの戦いと言って、バーン!と強く叩いたらしい。

さすがに切れました。堪忍袋の緒が。。
昨日の今日でやるなんて、相手は相当なものである。
約束なんてもう意味なし。
同情も気遣いもふっとんだ。

子供を連れてU君の家まで行った。
「お願いがあるんだけど、」
となるべく怒りを抑えてうったえた。

幼稚園の1月頃から毎日のように叩いていたらしいこと、
昨日も見た人から電話がきたこと、
たくさんの人からU君が叩いているという情報がきていたこと、
怒りで顔も声もひきつりながら、そのママに言った。
すると、
「ほんと?ごめんね、ひっぱってたのは注意してたんだけどね~」
と言う。

はあ?だから、
「ひっぱってるだけじゃなくて、叩いてるみたいで」
と言っても、ピンときてないのか、認めようとしてないのか、
叩いているというところに焦点が合わない。
「悪気はないと思うんだけどね~」
などと言っている。

U君が玄関に出てきたので、
「昨日、約束した通り、また叩いたからママに言ったよ」
と本人に言った。

U君のママは
「人に嫌な事したらダメって、言ってるでしょ?」
とU君に言って聞かせると、
「Yに言う事ないの?」と促した。
U君は「ごめんなさい」
と、機械みたいに言った。
うちの子供も機械みたいに
「いいよ」と言った。

え?それだけ?何だかおかしいな、という気もしながら、
「もう叩かないでね」
とママの目の前で念を押し、
「じゃあ、よろしくね、ごめんね」
と失礼したが、別に私が謝る事ないじゃん、と自分に腹が立った。

夜、主人に「とうとうママに言ったよ」
と言うと、「そうなったら、もし逆の立場だったら自分は謝りにいくけどな」
と言った。
U君のパパは謝りに来なかった。

その翌日U君が来た。
プールに誘いにである。
昨日の今日なのに??
私はあまりの無神経さに驚き呆れ、声も出なかった。

私は悟った。
もっと早くママに言うべきだったと。
今まで、相手を気遣ったり、赤ちゃんができたばかりで寂しいんだろうと同情したり、
そんなのは必要無かったかもしれない。
こちらが思う程、相手は気にもしていないのだろう。
近所だからと、遠慮する事も、なかったのだろう。

この半年私ばかりでなく、夫も怒りで狂いそうだったのに。
眠れぬ夜を幾夜も過ごしたのに。
全ては杞憂で、物事は単純だったのかもしれない。

まだいじめとかいう年頃でもないし、
うちの子供が自分で乗り越えるものだし、
空手にも入ったし。
御近所さんだし、
と、自分に言い聞かせていたが、これは違うと今は思う。
親が介入するべきところで介入しなければ、続くのだ。
過保護とかいうのと違うと思う。
我慢しちゃいけない。
近所だからって、遠慮するべきではない。
嫌だ、止めて、という態度をその子の親にも見せなければ、
何もなかったように続いてしまうだろう。

もちろん、自分の子がそういう事をはね返せれば問題はない。
でも、空手を習っていたって、
相手を実際に打つ事がどうしてもできないうちの子のような場合、
平気で叩く子にやられてしまうのだ。
まだ1年生でおおげさなと思われてもいい。
過保護な親と思われてもいい。
エスカレートしていくのを手放しで見ていられない。
叩いてもこの家族は平気だなんて思われたらU君はずっとやり続ける。
こちらの意志をみせなくてはならない。

しばらくは守る事も必要だ。でもやはり、だんだんそれも
不要になるよう、子供にはね返す力が出てくるように
上手く持っていかなくてはいけないと思う。