死ぬときは
お見舞いに行った。
見舞った方はお元気になられていたのだけれど、
同じ部屋の入院している方はもう、ほとんど意識がないようだった。
ナースセンターというのか、その隣の部屋だったので、
おそらく緊急な場合でもすぐにかけつけられるよう
配慮してその部屋なのだろう、と思った。
その方が目に飛び込んできて、あっ、と思った。
人間はいつか死んでしまう、と思った。
みんなに迷惑をかけてお世話されたりしたくない、
と誰もが思うだろうけれど、
迷惑かけない訳にはいかないのだ、と思った。
どうしたって、迷惑かけてしまうのだろうと思う。
それはコントロールがきかない人間だからしょうがない。
人が死ぬということはきっと迷惑をかけることなのだろう。
でも、それは仕方がないことなのだ。
だからもし、そういう状況になったら、私は
あきらめて、お世話になるしかないと腹をくくった。